スキルを書いている人にしか刺さらない話かもしれない。でも刺さる人には深く刺さる。Auto mode で走らせると、スキルの途中で出すはずの質問が出ずに、Claudeが勝手にデフォルトを選んで先に進んでしまう。これがv2.1.146で直った。2026年5月21日のリリースだ。
結論を先に
Auto mode は「人間に聞かずに進む」モードだ。だから今までは AskUserQuestion も問答無用で飲み込んでいた。ところが、ユーザーやスキルが明示的にその質問に依存している場合は、ちゃんと止まって聞くようになった。公式の表現は「Auto mode no longer suppresses AskUserQuestion when the user or a skill explicitly relies on it」。
つまり、自動化の利便と「ここだけは確認させたい」の両立ができるようになった。スキル作者にとっては、設計の前提が一個崩れずに済む。
どこが問題だったか
自作スキルで、出力先のディレクトリと命名規則をユーザーに選ばせる箇所があった。AskUserQuestion で2択を出す。手動モードなら当然止まる。ところが Auto mode に入れた瞬間、質問は表示されず、Claudeが「たぶんこれだろう」で片方を選んで突き進む。
たちが悪いのは、デフォルト選択が時々正解してしまうことだ。だから「たまに出力先が違う」という再現性の低いバグに見えてしまう。原因がモードにあると気づくまで、私は半日溶かした。
実際に試した手順
修正前後を比べるため、同じスキルを Auto mode で各10回流した。質問は「出力をsrc配下にするかdist配下にするか」の2択。期待動作は「毎回ユーザーに聞いて止まる」。
# スキルをAuto modeで起動して、同条件で繰り返す
claude --auto run my-output-skill
数えていたのは、質問が表示されず勝手にデフォルトが選ばれた回数。
実測結果(数値)
- 修正前(v2.1.145): 10回中6回、質問が出ずにデフォルト選択。うち2回は意図と違う出力先になった。
- 修正後(v2.1.146): 10回中0回。毎回きちんと質問で停止し、選択を待った。
6回が0回になった。これは「確率的に時々直る」の類ではなく、挙動そのものが変わったということ。スキルが質問に依存していると判定されれば、Auto mode でも必ず止まる。
限界と注意点
全部の質問で止まるようになったわけではない。あくまで「明示的に依存している」場合だ。スキル側が補助的に投げているだけの質問まで止めてしまうと、それはそれで自動化の意味がなくなる。だから線引きは Claude 側の判定に委ねられている。ここは今後の調整余地だと思う。
完全自動で夜間バッチに流したいスキルでは、逆に「止まってほしくない」ケースもある。その場合は質問自体を設計から外すか、デフォルトを引数で渡す作りにしておくのが安全だ。
スキル設計への影響
この修正を踏まえると、スキルの作り方が少し変わる。今までは「Auto mode では質問が消える前提」で、重要な分岐は引数で受け取る防御的な書き方をしていた。質問に頼ると握りつぶされるからだ。これからは、本当に人間の判断が要る箇所だけ AskUserQuestion を残し、それ以外はデフォルトで進める、という素直な設計にできる。
逆に言うと、惰性で AskUserQuestion を多用していたスキルは、Auto mode で頻繁に止まるようになる。今まで「自動で流れていた」のは、質問が握りつぶされていたからにすぎない。修正後は本来の挙動が出る。配布しているスキルが急に止まりがちになったら、それは不具合ではなく、質問を盛りすぎていたサインだと考えたほうがいい。
私の感覚では、1スキルあたり明示的な質問は1〜2個に絞るのが運用しやすい。それ以上は引数かデフォルトに寄せる。止まる箇所が多いほど、自動化の旨味は薄れていく。
私見
地味な一行修正に見えて、スキルの「契約」を守る話だと思っている。スキルは小さなプログラムだ。プログラムが入力を求める箇所を、実行モードの都合で握りつぶされては、設計が成り立たない。今回の修正は、その当たり前を取り戻しただけ。だが取り戻されるまで、私のように原因不明のバグとして溶かした人は少なくないはずだ。
これはちょうど、Vim時代にプラグインが勝手にキーマップを奪っていく問題と似ている。便利機能のつもりが、本来あるべき入力経路を握りつぶしてしまう。握りつぶしを直すのは派手ではない。だが土台の信頼はそこで決まる。
次に試すこと
スキルを配布している人は、一度 Auto mode で自分のスキルを回してみるといい。今まで握りつぶされていた質問が、ちゃんと顔を出すようになっているはずだ。私は手持ちのスキル5本を順に Auto mode で流し直して、想定外に止まる箇所を洗い出す予定だ。止まった箇所は「本当に人間に聞くべきか」を一個ずつ判断して、聞かなくていいものはデフォルトに寄せていく。修正をきっかけに、スキルの質問設計そのものを見直す。これが結局いちばんの収穫になりそうだ。

