Claude CodeのFast Modeで、既定モデルがOpus 4.6からOpus 4.7に切り替わった。バージョン番号は0.6から0.7への小数点1桁の変化だが、料金面の挙動は無視できない。Opus 4.7は通常呼び出しで出力1Mトークンあたり25ドルなのに対し、Fast Mode指定では同150ドルと6倍になる単価設計が、そのまま新しい既定に適用される格好だ。本稿ではこの既定変更の中身と、コストを抑えたい場合の回避策を実機ベースで整理する。
Fast Modeの既定が4.6から4.7へ
Anthropicの公式ドキュメントで明記されたのは、Fast Modeの既定モデルがOpus 4.6からOpus 4.7に切り替わったという1点である。Fast Modeそのものの仕様は変わっていない。Fast Modeは、同じモデルを「推論設定だけ速い構成」で動かすベータ機能で、出力トークン毎秒(OTPS)が最大2.5倍速くなる代わりに、入出力トークンの単価が標準の6倍になる。
4.7と4.6の挙動差を筆者の手元で比較すると、Anthropic公式が「Detailed Plans Win」と表現している通り、長い計画を立てさせてから実装させる用途では4.7のほうが明確に精度が出る。一方、短い指示で短いコードを書かせる用途では、4.6との差はほぼ体感できなかった。
つまり、Fast Modeの既定が4.7になったことは、「長文計画を立てさせるなら確かに恩恵がある」「短いタスクには過剰」という、ややねじれた状況を生んでいる。何も設定変更せず使い続けると、用途によっては請求書だけが膨らむことになる。
4.6にピン留めする環境変数が用意されている
Anthropicは既定変更にあわせて、CLAUDE_CODE_OPUS_4_6_FAST_MODE_OVERRIDE=1 という環境変数を用意している。これを設定するとFast Modeが4.6にピン留めされ、優先度はこの環境変数のほうが上だ。既定が4.7に変わっても「うちはまだ4.6で」と選べる出口は残されている。
筆者は当面、この変数を ~/.zshrc に書いて、明示的に4.7を使いたい時だけアンセットする運用にしている。理由はシンプルにコストだ。直近1週間でFast Modeを使った113回を集計したところ、74回が「数行〜数十行のリファクタ」用途だった。この用途では4.7と4.6で完成物の差はほぼなく、それでいて4.7のFast Mode単価は4.6のFast Modeより約27%高い(OpenRouter掲載の参考価格ベース)。74回の中で「4.7でないと困った」場面はゼロだった。
「Fast Mode = 速いけど高い」の中身
誤解しがちだが、Fast Modeは「最初の応答が速くなる」機能ではない。公式ドキュメントは、Fast Modeが速くするのは「出力トークン毎秒(OTPS)」だけで、「最初のトークンが出るまでの時間(TTFT)」は変わらないと明記している。
つまり、長い出力をだらだら待つ場面では効くが、1行コミットメッセージのような短い用途ではほとんど差を感じない。筆者の運用基準は出力が200トークンを超えそうかどうかで切っており、関数1つやテストファイル丸ごとを書かせる場面はFast Mode、関数名のリネームやimport追加・コメント整形は標準モード、と分けている。
なお、過去のAnthropicドキュメントには「/fast はOpus 4.6で走る」「CLAUDE_CODE_ENABLE_OPUS_4_7_FAST_MODE を立てるとOpus 4.7で走る」という記述も残っており、今回の5月更新でこの関係が反転した形になる。古い記事や個人ブログを参照する際は、書かれた日付を必ず確認しないと逆の設定を案内されるので注意したい。
チーム運用での影響と推奨設定
個人開発ではなく、チームでClaude Codeを共有している場合、この既定変更はもう一段厄介になる。メンバーごとに「Fast Modeでどのモデルが走るか」がばらつくと、コードレビューの粒度や提案されるリファクタの傾向が分かれる。1人だけ4.7、残り全員4.6、という状態は、レビュー基準の不安定さに直結する。
推奨できるチーム運用は、共有のシェル設定リポジトリで CLAUDE_CODE_OPUS_4_6_FAST_MODE_OVERRIDE を一律に定めておき、4.7に切り替えるタイミングは合議で決めるやり方だ。地味だが、これを揃えておかないチームは、半年後に「Fast Modeでなんか挙動変わった?」という会話に時間を溶かすことになる。
今回の推奨アクション
- Fast Modeの既定が4.7になったことを前提に、現在のClaude Code利用が4.7単価で走っているか確認する
- 短いリファクタ中心の用途であれば、
CLAUDE_CODE_OPUS_4_6_FAST_MODE_OVERRIDE=1を~/.zshrcなどに設定し、4.6にピン留めする - Fast Modeを使うかどうかは、出力量が200トークンを超えそうかを目安に切り分ける
- チーム運用では、共有のシェル設定で環境変数を一律化し、4.7へ切り替えるタイミングを合議で決める
Fast Modeの既定が4.7になったのは、Anthropicから見れば妥当な進化だ。だが、ユーザー側の用途は人それぞれで、6倍単価の前提が常に正解とは限らない。環境変数1つで戻せる出口が用意されている以上、既定変更を黙って受け入れず、用途と単価を突き合わせて判断する姿勢が、現時点では実利的な付き合い方になる。

